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株式会社コシイプレザービング /ハウスガードシステム営業スタッフ
泉香佑 | I. Kosuke
「長く安心して住める家」をテーマに、耐久性や性能、将来の価値まで考えた住まいづくりに携わる。後悔しない家選びのための情報を分かりやすく発信しています。
お金のこと
更新日: / 公開日:
「そろそろマイホームを考えようかな」と思い始めた30代のご夫婦へ。
住宅ローンを考えるとき、まず気になるのは「私たちはいくら借りられるんだろう?」ということではないでしょうか。
でも、実際に大切なのは、「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら無理なく返していけるか」ということ。
銀行から提示される「借入可能額」と、安心して暮らし続けるための「無理のない返済額」は、実は同じではありません。
前編では、銀行が示す借入可能額の仕組みから、無理のない返済額の目安まで、公的なデータや具体的なシミュレーションを交えながら、わかりやすくご紹介します。
「うちの場合はどのくらいがちょうどいい?」そんな疑問を解決しながら、理想のマイホームを無理なく実現するための金額を一緒に考えてみましょう。
住宅ローンで最初に確かめたいのは「いくら借りられるか」ではありません。銀行が出してくる借入可能額は、あくまで「返済が滞らない上限」。そのまま鵜呑みにすると、家計が苦しくなります。
まず知っておきたいのは、その数字がどう決まっているのかです。
銀行が融資額を決めるときの物差しは「返済負担率」です。年間のローン返済額が、額面年収の何%にあたるか。この割合で上限が決まります。
返済負担率 = 年間のローン返済額 ÷ 額面年収
この基準は、全期間固定金利の【フラット35】ではっきり公表されています。年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下。民間の銀行は審査基準を公表していませんが、おおむね同じくらいの水準といわれています。(出典②)
ここで気をつけたいのが、この割合が「額面年収」で計算されている点です。実際に暮らしに使えるのは、税金や社会保険料を引いたあとの手取り。額面の35%まで借りると、手取りに対する負担はもっと重くなります。
たとえば年収600万円の場合、返済負担率35%では年間210万円、月々17.5万円までの返済が可能と計算されます。ただし、この金額には自動車ローンなど住宅ローン以外の借入も含まれるため、「住宅ローンだけで月17.5万円借りられる」という意味ではありません。
では、実際に住宅ローンを利用する人は、どのくらいの金額を借りているのでしょうか。
住宅金融支援機構の「2024年度フラット35利用者調査」(借換えを除く27,523件)によると、土地付注文住宅の所要資金は全国平均5,007万円、年収倍率は7.5倍、平均総返済負担率は26.8%でした。
一方、土地をすでに所有している注文住宅では、所要資金3,936万円、年収倍率6.9倍、平均総返済負担率23.6%となっています。(出典③)
銀行の借入可能額は、あなたの暮らしを見て決めた金額ではなく、回収できる上限として弾き出された数字です。ここを出発点にせず、ご自身の家計から適正額を組み立てていきましょう。
| 融資区分 | 所要資金 (全国平均) |
年収倍率 | 平均総返済負担率 |
|---|---|---|---|
| 土地付注文住宅 | 5,007万円 | 7.5倍 | 26.8% |
| 注文住宅 (土地は所有) |
3,936万円 | 6.9倍 | 23.6% |
※所要資金は土地取得費・建設費などの合計。年収倍率は所要資金÷世帯年収(借入額の倍率ではありません)。出典③をもとに作成。
ただし、これらはあくまで「実際に利用した人の平均」です。平均的な借入額だからといって、すべての家庭にとって無理のない金額とは限りません。(出典③)
住宅ローンは「借りられる額」ではなく、自分たちの家計から「無理なく返せる額」を考えることが大切です。
銀行が示す借入可能額を基準にするのではなく、毎月の生活費や将来の支出も考えながら、自分たちに合った適正な返済額を決めていきましょう。
住宅ローンを無理なく返し続けるための目安は、手取り月収の20〜25%です。ここで大切なのは、額面の年収ではなく、実際に生活に使える「手取り」を基準に考えることです。
税金や社会保険料を差し引いた手取りから住宅ローンの返済額を考えることで、教育費や生活費、将来の貯蓄なども含めた家計とのバランスを取りやすくなります。
たとえば、年収600万円の場合、手取り月収を約39万円とすると、住宅ローンの返済額は月約7.8万〜9.8万円がひとつの目安です。金利1.0%・35年返済で考えると、借入額は約2,800万〜3,500万円が目安となります。
年収によって手取りや適正な返済額は変わるため、自分の家庭ではいくらが無理のない金額なのかを確認してみましょう。
■年収別手取りと目安の返済額
| 額面年収 | 手取り年収 | 手取り月収 | 返済額20% | 返済額25% | 借入額の目安 (金利1.0%・35年) |
|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 約315万円 | 約26万円 | 約5.2万円 | 約6.5万円 | 約1,800〜2,300万円 |
| 500万円 | 約390万円 | 約32万円 | 約6.4万円 | 約8.0万円 | 約2,300〜2,800万円 |
| 600万円 | 約465万円 | 約39万円 | 約7.8万円 | 約9.8万円 | 約2,800〜3,500万円 |
| 700万円 | 約535万円 | 約45万円 | 約9.0万円 | 約11.3万円 | 約3,200〜4,000万円 |
| 800万円 | 約600万円 | 約50万円 | 約10.0万円 | 約12.5万円 | 約3,500〜4,400万円 |
| 1,000万円 | 約730万円 | 約61万円 | 約12.2万円 | 約15.3万円 | 約4,300〜5,400万円 |
※手取り額は一般的な社会保険料率と所得税・住民税をもとにした概算。扶養の状況や自治体によって変わります。借入額は金利1.0%で計算しています(出典⑨)。
なお、住宅金融支援機構の調査における平均総返済負担率23.2%は「額面年収」に対する割合です。手取りに置き換えると約30%となり、手取り20〜25%という目安よりも高い水準になります。「平均だから安心」と考えるのではなく、自分たちの家計に合わせて返済額を決めることが大切です。
年収600万円のご家庭なら、無理のない住宅ローンの返済額は、月8万〜10万円がひとつの目安です。この返済額から考えると、借入額は約2,800万〜3,500万円が目安になります。
ただし、同じ月々の返済額でも、住宅ローンの金利によって借りられる金額は大きく変わります。
| 借入額 | 金利 年1.0% | 金利 年2.0% | 金利 年3.0% |
|---|---|---|---|
| 2,000万円 | 56,500円 | 66,300円 | 77,000円 |
| 2,500万円 | 70,600円 | 82,800円 | 96,200円 |
| 3,000万円 | 84,700円 | 99,400円 | 115,500円 |
| 3,500万円 | 98,800円 | 115,900円 | 134,700円 |
| 4,000万円 | 112,900円 | 132,500円 | 153,900円 |
| 4,500万円 | 127,000円 | 149,100円 | 173,200円 |
| 5,000万円 | 141,100円 | 165,600円 | 192,400円 |
※100円未満を四捨五入。元利均等返済・ボーナス払いなしで試算(出典⑨)
たとえば、35年返済・ボーナス払いなしの場合、3,000万円を借りると、金利1.0%なら月約8.5万円、2.0%なら約9.9万円、3.0%なら約11.6万円の返済額になります。金利が高くなるほど、同じ金額を借りても毎月の負担は大きくなります。
逆に、月々の返済額を9万円と決めた場合、金利1.0%なら約3,150万円、金利3.0%なら約2,340万円が借入額の目安となり、同じ返済額でも借りられる金額に大きな差が出ます。
「月1万円の返済でどのくらい借りられる?」と考えると、金利による違いをイメージしやすくなります。35年返済の場合、金利1.0%なら約350万円、2.0%なら約300万円、3.0%なら約260万円がひとつの目安です。
住宅ローンの適正額を考えるとき、表や計算式だけではなく、ぜひ確認してほしい数字があります。それは、今のご家庭が実際に無理なく払えている住居費です。
「現在の家賃+住宅購入のために毎月貯蓄できている金額」をひとつの目安にすると、これからの住居費を具体的にイメージしやすくなります。
たとえば、現在の家賃が12万円で、毎月3万円を住宅購入のために貯蓄できている場合、月15万円が現在の家計から住居費に充てられている金額です。
いまの家賃 + 住宅購入のために毎月貯蓄できている額 = 無理なく出せる住居費
ただし、家を建てたあとに貯蓄をすべて住宅ローンの返済に回すのはおすすめできません。教育費や老後資金、急な出費への備えなど、将来のための貯蓄も続ける必要があります。今の貯蓄額をそのまま住居費に上乗せするのではなく、無理なく回せる範囲だけを住宅費に充てることが大切です。
これまで見てきたように、住宅ローンは「銀行からいくら借りられるか」ではなく、「自分たちが無理なく返し続けられるか」を基準に考えることが重要です。
手取り月収の20〜25%を目安にしながら、現在の家計で実際に払えている金額とも照らし合わせてみましょう。こうすることで、より現実的な住宅購入予算が見えてきます。